Huaquillas-Trujillo-Huaraz
ウアキージャス〜トルヒーヨ〜ワラス
「俺たちゃペルー人」
エクアドル〜ペルー国境にて。
![]() 幹が異様に太い木。
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1998年6月30日(エクアドルからペルーへ越境) Huaquillas-Zorritos いやなことは早めに終わらせたいもの。今日は国境手前の街で一泊する予定だったが、早めに国境に到着したので今日中に越境することにした。国境ゲート正面の通りは道の両側とも露天が密集し、その間をたくさんの人が肩をぶつけ合いながら歩いている。両国とも国境地帯独特のあやしい雰囲気。国境ゲートに到着すると、さっそく両替屋や通関ガイドを名乗るガキが蠅のように群がってきた。ここの国境にはパラソルの下で黒いアタッシュケースを抱えて座っている両替人と、路上に立っている両替人がいるのだが、路上を徘徊している両替人は詐欺師として有名。通常のレートより3割も安いレートでしつこく付きまとい、更には細工された電卓で数字をごまかす。 エクアドル側出国スタンプを受けるイミグレは国境から3kmも戻った場所にあったらしいのだが、それを知らずに走って来たためもう一度戻るはめになった。3km戻り、問題なく出国印を受ける。次に国境のアドゥアナ(税関)へ。エクアドルに入国時バイクの通関手続きはなかったが、パスポートに税関の出国スタンプが押される。 エクアドルの出国手続きはこれで終了、次にペルーの入国手続きへ進む。 両国とも入国時、車輌の消毒は必要ないが、過去、噴霧器を持ったニセの消毒屋が一回10ドルで必要もない消毒を押しつけていたらしい。しかし今日はそのニセ消毒屋は見あたらなかった。ポリスのチェックを受けた後、アドゥアナでバイクのイングレッソを作成してもらう。ここではパスポートのコピー(写真部分とエクアドルのイミグレで受けたスタンプのあるページ)とバイクの書類のコピーが必要とのこと。だが、アドゥアナはもちろん、付近にもコピー機のある店がないのでもう一度エクアドル側に戻ってコピーをとってくるはめになった。さっきからガイドと名乗るクソガキがしつこく付きまとっているのだがこんな時に何も役に立っていない。それどころか、「代わりにエクアドルへコピーを取りに行ってあげるから5ドルちょうだい」とお金をせびる。もちろんクソガキに大切なパスポートを託すのは危険きわまりないので自分でとりに行くことになる。すでにアドゥアナで出国手続きしたバイクでエクアドルに戻るのは違反だというが、泥棒がたくさんいそうなこの場所にバイクを置いて行くわけにはいかないのでバイクで強行。ゲートのポリスには「コピーを取りに行くだけだ、すぐ戻ってくる!」と怒鳴りつけ、有無を言わさず通してもらった。 エクアドルとペルーは現在も国境紛争が絶えない。国境近くの街はまるで空爆を受けたような建物が立ち並び、瓦礫が町中に散らかっている。しかしそんな廃墟のような建物の中にも貧しい人が住みついている。 国境から海岸沿いを60kmほど走ったところにユースホステルを見つけた。今日の宿はここにしようか。ユースの建物は日干し煉瓦の塗り壁と竹で作った簡単な小屋だが、子犬や仔猫が歩き回り、暖かい雰囲気で居心地が良かった。宿泊料は豪華な夕食と翌日の朝食を含め27ソル(約10ドル)。 走行距離:322km(Total 15,883km) 1998年7月1日 Zorritos-Piura-Chiclayo ピウラからチクラヨへ向かう道路は、海岸よりと内陸よりに二通りの道が走っている。二年前、海岸よりの道を自転車で走っていた日本人旅行者が賊に襲われ身ぐるみはがされるという事件があったので緊張して走った。 フランスでバイトする羽目になることもなく、ホッとしてチクラヨの町に入った。しかし、ホテルで宿泊料を払おうとしたところでとんでもないことに気がつくことになった。エクアドル国境で両替した50ソル札を出すと、受付係の顔色が急におかしくなり、係りはそのお金と僕のパスポートを持って事務室の方へ消えていった。しばらくして出てきた受付係が言うには、なんとその50ソル札は偽札らしい。調べるともう一枚持っていた50ソル札も偽物だった。なんてこった、100ソル(約5000円分)も騙されたのだ。国境で路上の両替人と交換したとき、数字ばかりに気を取られて偽札に気がつかなかった自分がバカだった。悔しいが泣き寝入りするしかない。 走行距離:532km(Total 16,414km) 1998年7月2日 Chiclayo-Trujillo チクラヨからパンアメリカンハイウェイを数キロ南へ行ったところの橋が水害のため落ちており、現在工事中とのこと。そこで迂回路を走る事になるのだが、その迂回路を探すのにさんざん迷ってしまった。結局100kmほどミスコース。迂回路自体は内陸寄りに延長50km以上もあるのだが、ブルトーザーで削っただけの豪快な道が砂漠の中に延々と続いていた。ダート路を大型トラックがひっきりなしに通るものだから、砂埃が舞い全身砂まみれ。 海岸沿いの砂漠地帯を走っているとき、急に便意をもよおしてきた。仕方なく砂漠の中に500mほど突っ込み、地平線をながめながら用をたす。遠くパンアメリカンハイウェイにトラックが行きかうのが見える。なぜか凄い贅沢をしているような気分になった。 走行距離:378km(Total 16,792km) 1998年7月3日 Trujillo 今日はトルヒーヨの町を歩いた。タクシーで町の銀行へ行ってTCを現金化しようとしたのだが、肝心のTCを持ってくるのを忘れてしまった。まったくラテンボケしている自分に呆れてしまう。 「Plaza de Armas」で休んでいるとき、高校生くらいの少年三人が話しかけてきた。インターネットカフェの場所を知っているというので案内してもらい、そのついでに自分のホームぺージを見せてあげる。高校生三人は旅の写真などを真剣な眼差しで見て感心していた。そのうちの一人レオナルドはヨセミテの写真がえらく気に入った様子。印刷してあげようと思ったが、プリンターが利用できないので生写真を送ってあげることにした。 走行距離:0km(Total 16,792km) 両替 $25 => 72soles 1998年7月4日 Trujillo 「Plaza de Armas」では小さな子供がお菓子などを売り歩いている。そのうちの一人、いがぐり頭の子マヌエルと話をした。聞くとマヌエルはまだ十歳だという。十歳と言えばまだ遊び盛りの年齢。彼らは小さな頃から働いて家計を助けているのだ。 ペルーはコンセントの電圧が220Vなので、日本から持参の電気機器を使うには変圧器が必要になる。幸いドライヤーもコンピュータのアダプターも220Vに対応しているが、ニッカド電池の充電器だけは対応していない。充電地を使わずにアルカリ電池を使えばよいのだが、デジタルカメラやGPSレシーバーはかなり電池の消耗が早いので、普通の電池を使ったのでは出費が大きくて大変。そこで変圧器を町で探し回ったのだが、一日中探し回ってやっと見つけることができた。家電を扱っている店にはどこも扱っておらず、最後は金物屋で発見。約11ドルだが、三回充電すれば元を取れるだろう。しかし変圧器はコイルの固まりなので重い。1000グラム以上あるのではないだろうか、1グラムでも荷物を軽くしたいバイク旅行者には辛いものがある。 走行距離:0km(Total 16,792km) 1998年7月5日 Trujillo-Casma 所々農地開発がなされているものの、パンアメリカンハイウェイの通る海岸沿いはあいかわらず砂漠地帯が続いている。高さ30メートル以上ありそうな大きな砂丘が道の両側に現れる。砂丘は海から吹き付けてくる風に流されて少しずつ移動しているかに見える。場所によっては道路のすぐ近くまで砂丘が迫って所もあった。 トルヒーヨから約200km、カスマの町で一番良いホテルに入る。一泊40ソルだと言うが、高いと言うと30ソル(約11ドル)にまけてくれた。 走行距離:206km(Total 16,998km) 1998年7月6日 Casma-Sechin-Huaraz カスマ近郊のセチン遺跡に立ち寄ったあと、ワラスの街目指してひたすら山道を登る。道は断崖絶壁を縫うように続いており、文字では表せないほど素晴らしい景色が広がっている。高度が上がるほど気温も下がり、空気も薄くなってゆくのがわかる。しかし天気がいいので気持ちがよい。行程にはインディヘナの村があり、赤や青など原色の民族衣装を着た人々が歩いている。風景はまさにフォルクローレの世界。 ワラスの街には小さな宿がたくさんあるのだが、どの宿も結構高い。何軒かまわって宿泊料を訊くが、どこも日本円換算2,000円以上とのこと。 走行距離:158km(Total 17,156km) 1998年7月7〜8日 Huaraz 博物館(Museo Arqueologico de Ancash)では紀元前の昔に頭蓋骨切開手術されたという人骨やミイラを見た。驚いたことに頭蓋骨に穴をあけられてからも数年生き延びていたらしい。 ワラスの町を歩いているとき、電話局の隣にインターネットが使えるところを発見した。こんな山奥の町でインターネットが使えるというのも不思議な話。聞くと利用料金は1時間10ソル(約3.5ドル)とのこと、利用者は欧米からの旅行者がほとんどだ。 二日目午前中、TC両替のため銀行へ行った。この町に銀行は数軒あるのだが、ガイドブックによるとTCをコミッション無しで両替してくれる銀行は一軒しかないことになっている。しかし、その一軒だけが銀行の前に50人くらい人が行列している。 走行距離:0km(Total 17,156km) 両替 TC $100 => 286soles |