David-Santiago-Panama
ダビッド〜サンチアゴ〜パナマ

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中央アメリカ縦断8,000kmの旅を終え、
ついに南米大陸へ渡る時が来た。
(写真は積み込み前にガソリンを抜いているところ)

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 パナマ運河はアメリカの管理下にある。

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 ラス・アメリカス橋
 パンアメリカンハイウェイがパナマ運河をまたぐ。

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 パナマ運河

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 ミラフローレスロック(閘門)

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 空輸会社「GIRAG」の職員
「荷物は盗まれるから自分で運べ」

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  プエルト・ビエホ
 古いパナマ空港が航空貨物基地として利用されている。
付近一帯あやしい雰囲気がただよう。

1998年5月6日

Puerto Jimenes-Santiago

 中米最南端の国、パナマに入国。ビザは不要、ツーリストカードが必要なのだが、ツアーエージェンシーが代書料を含め5ドル徴収する。
 ここのビークルコントロールはあっさりしていた。窓口が順序よく並んでおり、指示通りに動けば苦労なく手続きが終わる。最後にバイクを消毒して完了。所要時間は僅か十数分、悪徳ガイドや賄賂をたかる役人がいないので実に気持ちのいい国境越えだった。

 国境の路上両替人からコロンをドルに両替してもらう。他の中米の国々では、路上両替人の極悪レートで悩まされてきたのだが、ここはかなり良心的なレートなので、これで商売になるのだろうかと逆に心配してしまう。
 パナマの通貨はバルボア(1バルボア=1ドル)で、米ドルとリンクしている。バルボアコインはあるのだが、紙幣が無く米ドルがそのまま通貨として流通しているのだ。アメリカ以外の国で米ドルがそのまま使えるというのは何とも不思議な気分。バルボアのコインもデザインは違うものの米ドルコインと大きさが同じなので、米ドルコインと混在して流通している。アメリカとの両替管理は一切為されていないというから不思議だ。

 ダビッドの街を越えたところから雨雲が上空を覆い始める。ポツリポツリと来たかと思うと、いきなり大粒の雨が降り出す。熱帯地方独特の大雨だ。荷物はあらかじめ防水処理してあるので、あとは自分が雨具を着ればいい。しかし暑いのでTシャツ姿のまま走る。
 中米は五月に入ったところで既に雨期が始まっているのだ。バケツをひっくり返したような大雨に打たれつつ走るが、気温が高いので気持ちがいい。

走行距離:386km(Costa Rica138km)(Total 12,410km)
宿:$10
出費:食費 1250colones, $3.75
   ガソリン625colones(6.3L)
   
   コスタリカ出国 無料
   パナマ入国 $5(ツーリストカード), $4(ペルミソ), $1(消毒)  

両替 12,000colones ->  $46
(路上の両替人$1=257colones)

1998年5月7日

Santiago-Panama

 パナマシティ数十キロ手前、普通のレストランで「エビのサルサソース和え」を注文したら出てきたのは中華料理のエビチリソースそのものだった。中華系の移民が多い国ならではのメニューで実に美味しい。一緒に頼んだマイースのトルティージャは、メキシコなどのトルティージャとは味も大きさも厚さもまるで違う。1センチ厚にスライスしたジャガイモを油で揚げたようなものに似て、そのまま食べても美味しい。
 パナマは他の中米の国とは違って、米が主食のようによく食べられている。レストランで出てくるのはロンググレインのインディカ米なのだが、油分が少なく味も上々、パサパサ感がないのでそのまま食べても美味しい。食に関しては日本人に優しい国なのだ。

走行距離:236km(Total 12,646km)
宿:$10
出費:食費 $13
   ガソリン$3.9(2.4G)

1998年5月8日

Panama

 米軍の航空基地へ行き、米軍のバイククラブ「Road Knights Motorcycle Club」を探す。ガイドブックによると正式には1994年1月を以て閉鎖されてしまったらしいが、ガイドブックを編修している時点ではまだ修理・整備工場は存続しているとのこと。そして、ビジターブックにはバイクを南米大陸に送る為の有用で信頼できる情報が書いてあるらしい。
 しかし、基地内各所で警備している米兵にクラブの所在地を訊き回ってみるが、だれもそのクラブについて知っている者はいなかった。クラブ自体、もう完全に失くなってしまったのだろうか。残念。

 ホテルのフロントで電話帳を借りて航空輸送会社を調べていると、たまたま泊まっていたエル・サルバドル人のおじさん(ロドリゲスさん)が色々とアドバイスしてくれた。数ある航空会社のから信頼できる会社をリストアップしてくれ、「きみのスペイン語じゃあ電話するのも大変だから、明日の朝代わりに電話して訊いてあげるよ」と言ってくれた。言葉の不自由な外国の地では実に強力な味方だ。

走行距離:154km(Total 12,800km)
宿:$10
出費:食費 $12

1998年5月9日

Panama

 朝、ホテルのフロントへ行くとロドリゲスさんが出かける準備して待っていてくれた。そして外の公衆電話から航空運輸会社のアビアンカ(Avianca)へ電話してくれ、必要なことはすべて問い合わせてくれた。
 輸送料は250ドル、今日か明日中にバイクを空港へ持ち込めば、月曜日にはボゴタに到着するらしい。電話代に1ドル渡そうとすると「それはとっておきなさい」と言って受け取ろうとはしなかった。
 12歳と13歳の息子をもつロドリゲスさんはエル・サルバドルの西部の町サンタアナでレストランを経営している。今回はパナマへ買い物に来たとのこと。住所を書いた紙をくれて、「またエル・サルバドルへ来たときは家に寄ってって」と言ってくれた。二日で抜けてしまったエル・サルバドル。次回行けるのはいつの日になるかわからないが、もう一度ロドリゲスさんのいる国に行ってみたくなった。

 明日バイクを空港に持っていけばパナマでの用事はすべて終わることとなる。ついに明後日には南米大陸へ向けて移動できるのだ。パナマ運河も今日が見納め時、バイクでミラフローレスロック(閘門)へくり出した。パナマ運河では太平洋と大西洋の水位差を補うために、いくつかの閘門が備えられている。水路の扉によって水位を上下させ、船舶を通行させる仕組みだ。

走行距離:85km(Total 12,885km)
宿:$10
出費:食費 $8

1998年5月10日

Panama-Bogota

 朝、荷物をまとめ空港へバイクを走らせる。中米の旅もいよいよ終わりだ。空輸前にバイクをきれいに洗いたかったが、ホテルの人から「君のバイクはきれいだからコロンビアで盗まれないよう気をつけて」と言われてやめた。

 過去、旅客空港として利用されていた古いトクーメン空港は現在貨物機専用の空港として利用されている。付近一帯あやしい雰囲気に包まれ、いかにも白い粉が運ばれていそうな感じ。
 貨物機専用の空港で空輸会社を探すのにずいぶん迷ってしまった。昔、旅客ターミナルとして利用されていたと思われる建物は廃墟のようになっており、人の気配が無い。付近で「アビアンカ」のオフィスを探すが、オフィスらしい建物は見あたらない。
 隣接する倉庫に何人かの作業員がいたので訊いてみると、「GIRAG」という会社がコロンビア、ボゴタ行きの車両輸送を扱っているという。警備員の先導で滑走路の方へ入ったところに、スラムのようなオフィスがあり、車輌の発送手続きができる。

 航空貨物を搬入するゲートにはまるでマフィアのボスのような風格の男が見張りについている。そしてボス風の男が「バイクの部品が盗まれないよう見ててやるゼ、だから見張り料20ドルよこしな。俺が見てないとすぐ物がなくなるんだぜ、ヒヒヒ....」と言った。お金を出し渋るとミラーなどの部品がここで無くなるような気がしたので、悔しいが支払う。
 空輸会社の職員によると、バイクにくくりつけた荷物はコロンビアの倉庫で盗まれるという。キャンプ道具など荷物の半分はバイクと一緒に輸送しようと思ったのだが、自分で手荷物として運ぶことにした。飛行機への積載前にガソリンを抜くが、オイルは抜かず。
 本当に届くのか心配になってきたが、船便より確実なのは確かだろう。

 さて、バイクの発送手続きが終わったら早速自分の航空券を手配だ。本当は翌日コロンビアへ飛ぼうと考えていたのだが、翌日の便はないので急遽今夜の便で飛ぶことにした。なんだか計画性のない旅になったが仕方ないだろう。
 自分の乗った飛行機は夜9時過ぎにボゴタに到着。空港からホテルへ行くときのタクシーでドライバーと少し話した。ドライバー曰く、
 「夜のボゴタは危ない、この国は本当は美しいのだけど政治が腐っているからだめなんだ。地方へ行くとたくさんのゲリラが潜んでいるからバイクで走るとき気をつけろ。」
 会話が途切れたとき、タクシードライバーの表情が急に険しくなってきた。タクシーは暗い道を猛スピードで走る。スピードがぐんぐん上がり、メーターの針は既に160kmを越えている。
 「もしかしてこれはやばいのではないか、このままどこかへ連れて行かれて身ぐるみ剥がされるのではないか。」
 バックパックに入れておいたナイフを握りしめ、ひたすらドライバーの動きを注視する。「いざとなったら殺られる前に殺っちまえ。」
 狭い車の中、冷や汗を垂らしながら、タクシードライバーに殺され路地裏で死体となっている自分と、ドライバーの死体をトランクに積んでタクシーのハンドルを握りしめている自分を交互に想像する。しかし、そんな心配も無駄に終わり、タクシーは綺麗な中級ホテルの前に止まった。

 ホテルでは部屋の電話から市内のAPを利用し、久しぶりにネットに接続することができた。

走行距離:46km(Total 12,931km)
宿:$10+$43
出費:食費 $6
   バイクの輸送料 $250 + $20
   パナマ〜ボゴタ航空券 $140.30
   空港税 $20
   タクシー代 $57
   カメラの電池 $7.50


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