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伊原くんのホンダゴリラ(50cc)で世界一周 !!

北米大陸編(1,2)

「○△□!! ×○×□?」
「Excuse me ?」
「□×○×□○×△?」
「Sorry, I dont understand....」
 1999年8月12日、カナダ・バンクーバー空港。生まれてはじめての入国審査。よく考えるとこの時が外国人と外国語で会話する最初の時だった。若い黒人女性の審査官は僕に英語で話しかけても埒があかないと判断したらしく、奥の事務所に合図を送っている。すると年輩の日本人女性が出てきた。おそらく僕のようなまったく英語ができない日本人のトラブルのために待機されているのではないだろうか。審査官の言っていることを通訳していただいた。
「どのくらいカナダに滞在されますか?」
 英語で何て言うんだろう....「How long do you stay in Canada ?」
 やばい!! そんな簡単な中学生英語も聞き取れなかったんだ....。我ながら愕然となった。
「50ccバイクで世界一周だなんて意気込んでやって来たけれども、バイクを受け取ってスタートできるんかなぁ。いや、生きて帰れるやろか.......。」

”世界一周の旅のスタート洋々たる前途、僕は来たいに胸を膨らませて空港を出た。”と書きたいところだが、実際は洋々どころか暗澹たる気持ちのスタート....。バンクーバーに到着して初めて自分が外国語を全くできないという現実に気付かされたのである。最初の入国審査の時点で既に他人のお世話になり、これから先あるだろうトラブル、国境越えに大きな不安を感じずにはいられなくなった。「”冒険”という言葉があるが、今僕は ”謀険”(無謀で危険)をしているのではないだろうか」という思いがよぎる。

 四日間ほどバンクーバー市内を観光し、バンクーバーアイランドまで足をのばした後、5日目、ようやくバイクの受け取りに運送会社へ行ってみる。神戸港でゴリラと別れてから一ヶ月。バンクーバーに着いて以来、旅への不安ばかり感じていたが、いよいよゴリラを受け取るとなると、夢にまで見た旅がついに始まるのだと胸の高鳴りをおさえきれない!!
「あのー、日本からバイクを送った者なんですが、今日受け取りできますか?」
 すると運送会社の事務員、
「まだ受け取れないよ。」
 あれっ、おかしいなぁ。日本で船積みするときに、バンクーバーまで2週間かかるというので、2週間も余裕をもって送ったはずなのに。まだ到着していないのか?
「じゃあ、いつ頃受け取りになりますかね?」
「いや、今の段階では誰にもわからないんです...」
 えっ、誰にもわからないなんてそんないい加減な言い方はないだろっ、と思ったがよく聞いてみると、「実はね、バンクーバーのトランスポーター・ドライバーが今ストライキをやっていて、あなたのオートバイは港まで来ているのだけど、積み降ろすことができないんだ。誰にもどうすることもできない....。」
 そんなばかな!!
「いつ頃そのストライキは終わりそうですか?」
「今現在で一ヶ月ストライキは続いているんだけど、う〜ん、あと一ヶ月、二ヶ月、いや三ヶ月見当つかないよ。」
 目の前が真っ白になった。後に知ったことだがそのストライキはかなり大規模なものだったようだ。トランスポーター・ドライバー達は港の中にトラックを並べ道路を封鎖するなどしていた。バンクーバー市内のスーパーでは長引くストライキのため、輸入品が店頭で見られなくなったりしたそうだ。
 仮に3ヶ月、いや、半年もバンクーバーでバイクを待たなければならないとしたら、季節は冬になってしまい、オートバイで旅行するのは難しくなる。その上、物価の高い先進国に長く滞在することは旅費の上でも辛い。下手な英語で必死になんとかならないかと抗議するが、運送会社自身大きな損害を被っているわけで、彼らも早くバイクを渡したいのだがそれは不可能なことなのだった。

北米大陸編の続きは便箋をスキャンした画像でアップしました。
管理者多忙なため更新が遅れまして大変申し訳ありません。

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