世界一周日本人自転車野郎

一年間北米大陸を走っているうちになんと4人もの世界一周自転車野郎に出会った。
彼らと会ったのは、ある時は北極圏ツンドラの荒野の一本道、
またある時はカナダ山中のキャンプ場、
メキシコのインディオ村、
喧噪渦巻く大都市の安宿等々。
しかし自転車野郎のパワーには圧倒される。
彼らは粗食に耐え、泥水をすすり、人力で日々前進しているのだ。
敬意を込めて彼らにこのページを贈る。


 松本 章

 アラスカ州・ダルトンハイウェイ、そこはツンドラの荒野を800kmもの砂利道が北極海まで続いている。その中をおびただしい蚊の大群に包囲されながら走る一人の男がいた。彼は自転車による世界一周の旅をオーストラリアからはじめ た。
 北米大陸縦断を終え、南米大陸縦断、97年6月中旬から再びヨーロッパを走り出す。

 6月初旬に長野県内で再会したのだが、驚くべき変化を遂げていた。最初会ったときは爽やかな青年といった印象だったが、南米帰りの氏は完全にラテン男と化しているのだ。アラスカで会ったときとは比べものにならないほどむさくるし....じゃなくて、逞しい風貌になっている。そして軽く、明るく......。俺も南米後はああなるのだろうか。


 渡辺博喜

 カナダ、アラスカハイウェイ沿いのキャンプ場に彼はいた。台湾に続き、北米大陸縦断、北米大陸縦断をメキシコシティで終えた彼はネパールへと旅立ってい った。その後、モンゴル、ニュージーランドを旅し、次にアフリカ大陸へ渡った。
 ジンバブエから絵はがきが届いた。アラスカ同様、多くの野生動物に興奮の毎日とのこと。


 清田 信也

 メキシコシティの安宿で会った。彼のパワーには本当に圧倒される。オーストラリアを縦断したあと世界一周を決意した。北米大陸はパナマから出発してアラスカまで北上、北極海で折り返し再び大陸を縦断しメキシコ、ユカタン半島まで走ったのだ。しかも北極圏には別ルートで二度も入っている。

 いつも超人的な体力を発揮し一日に200km以上走ると言う。
 南米ではベネズエラにて山賊に遭遇、逃げようとしたときライフル銃で発砲されたが、幸いそれが散弾だったのため鉛片が刺さったのみにとどまった。
南米最高峰アコンカグアにも登頂。

 しばらく連絡が来ないが生きているのだろうか?


 石田 ゆうすけ

 世界一周中。メキシコ、バランカ・デル・コブレにてインディオ村の安宿で会った。彼ほど余裕のある旅人は見たこと無い。ちょっと隣町まで行くような感覚で世界一周しているように見える。
 しかし、北米大陸縦断後、南米大陸へと旅を進めたのだが、96年7月、ペルー北部を走行中、山賊に遭遇、拳銃を突きつけられて身ぐるみ剥がされた。
 その時パンツまで脱がされたと言うから恐ろしい。そして、ベルトの中に隠していたお金まですべてとられることとなった。幸い、命とその時着ていたものと自転車は盗られずに済み、僅かだが小銭程度のお金も返してもらったので、リマまで何とか辿り着くことができた。
 だが、盗まれたトラベラーズチェックの再発行をリマで申請をしたが、無惨にも使われていた。サインは巧みに偽装されていたという。
 97年5月にサンチアゴから絵はがきが届いた。旅の再開を願う。


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